住宅ローン借り換えで得する人・損する人の違い

支払いを軽くするために借り換えたい

 

同じ「金利が下がる」でも、住宅ローンの借り換えは全員が得するわけではありません。ポイントは、①残期間・残高、②新旧金利差、③諸費用、④返済方式と今後の家計イベント。この4点の掛け合わせで損益分岐が決まります。この記事では、「得する人/損する人」の見分け方、割安かどうかを自力で判断できる簡易計算法、失敗回避のチェックリストまでをまとめました。

 

まずは結論:得する人/損する人の典型像

 

得する人(成功パターン)

  • 残高がまだ大きい(目安:2,000万円以上)× 残期間15年以上
  • 新旧金利差が0.3〜0.5%以上(固定→固定、変動→変動の同タイプで比較)
  • 借り換え諸費用(事務手数料・保証料・登記費用など)を10年以内に回収できる
  • ネット銀行などの低コスト&団信充実プランに移れる
  • 繰上げ返済を併用し、残期間短縮の設計ができる

 

損しやすい人(要注意パターン)

  • 残期間が短い(目安:10年未満)× 残高が小さい…利息削減余地が少なく費用回収が困難
  • 金利差が小さい(0.2%未満)…手数料負けしやすい
  • 現行ローンの繰上げ手数料が高い/保証料の戻りが少ない
  • 団信・特約の条件が悪化(上乗せ保険料や健康状態の問題)
  • 変動→固定にして総返済が上がるのに将来の金利上昇リスク低減の価値を評価しない

 

一目で分かる!借り換え向き度チェック表

項目 基準 判定
残高 2,000万円以上で◎/1,000〜2,000万円で○ ◎・○・△
残期間 15年以上◎/10〜15年○/10年未満△ ◎・○・△
新旧金利差 0.5%以上◎/0.3〜0.49%○/0.2%未満△ ◎・○・△
諸費用回収 10年以内に回収見込みで◎(総支払減額>諸費用) ◎・△
団信/特約 現状維持or改善で◎/悪化・高コストで△ ◎・△

◎が3つ以上あるなら前向き検討、◎2つ+○2つなら精緻に試算、△が多いなら見送りが目安。

 

費用と効果:何がいくらかかる?いくら減る?

 

主なコスト(概念)

  • 事務手数料(定額 or 借入額の2%前後の割合型)
  • 保証料(金融機関によりゼロ〜数十万円/外付け利率上乗せ型も)
  • 司法書士・登記費用(数万円〜十数万円)
  • 団信上乗せ(がん特約等)
  • 既存ローンの繰上げ・解約関連費用

効果の源泉

  • 金利差による利息軽減
  • 残期間短縮(期間短縮で利息を一気にカット)
  • 返済方式(ボーナス返済縮小・毎月均しで家計安定)

 

かんたん損益分岐テスト(概念式)

 

ステップ1:年間利息差を概算

年間利息削減額 ≒ 現残高 × 金利差
例)残高2,500万円・金利差0.5% → 約12.5万円/年の利息軽減見込み

ステップ2:回収年数を概算

回収年数 ≒ 借り換え諸費用 ÷ 年間利息削減額
例)諸費用45万円/削減12.5万円 → 約3.6年で回収

ステップ3:残期間と比較

回収年数が残期間の1/2以下なら有力。1/2超なら精緻試算、残期間より長いなら見送りが妥当。
※上式は概算です。実際は元利均等の元利配分、手数料課税、保証料の前払い/上乗せ方式などで変動します。

 

ケース別:得する/損するの分かれ目

ケース プロの見立て 理由
固定→固定(0.5%以上ダウン)残高2,800万/残期間25年 得しやすい 利息削減余地が大きく、費用回収が早い。期間短縮併用で効果拡大。
変動→固定(差は小さいが金利上昇が不安)残高2,000万/残期間20年 状況次第 総支払はやや増でも、リスク低減の価値をどう評価するか。家計の安定優先なら可。
固定→変動(現時点で大幅低下)残高1,200万/残期間12年 微妙 残期間が短く、費用回収がギリギリ。金利上昇時の逆回転に注意。
残期間9年/残高800万/差0.2% 損しやすい 利息削減が小さく、手数料負けの可能性大。繰上げ返済の方が合理的。

 

固定・変動・ミックス:戦略の立て方

固定志向(家計の見通し重視)

  • 返済額のブレを極小化。教育費ピーク期に向けて借り換え+期間短縮で安全域を厚く。
  • 金利差は小さくてもリスクプレミアムを買うという発想。

変動志向(総支払最小化)

  • 当面の低金利を享受しつつ、余剰資金は繰上げへ回して元本圧縮。
  • 金利上昇シナリオでは、固定化or再借り換えのオプションを持つ。

ミックス(固定+変動の組み合わせ)

  • 家計防衛と利息最小化の折衷。固定:変動=5:5や7:3などでバランス。

 

見落としやすい落とし穴

1. 手数料の「割合型」

借入額の数%が手数料だと、大口借り換えほど不利になりやすい。定額型と比較を。

2. 保証料の扱い

現行ローンの保証料に返戻があるか、新ローンで外付け/金利上乗せのどちらか—で損益が変わる。

3. 団信・特約の差

がん50%保障や就業不能などの特約が見劣りすると、トータルの安心度が低下。条件差は価格に換算して比較。

4. 返済方法の変更インパクト

ボーナス返済の縮小で月額が上がると、家計の季節変動は緩和されるが毎月の資金繰りに注意。

 

実践フロー:今日からできる進め方

  1. 現状把握:残高・残期間・金利タイプ・ボーナス返済・団信/特約・繰上げ費用を整理
  2. 相見積り:同タイプ(固定→固定等)で3件以上の事前審査・概算見積り
  3. 概算判定:年間利息差・回収年数(上の概算式)で一次ふるい
  4. 精緻試算:諸費用の内訳、保証料返戻、手数料の課税、団信上乗せを反映
  5. 意思決定:総支払・家計安定・リスク低減の3軸で比較、乗換時期を確定

 

Q&A:よくある疑問

Q. 金利差0.2%でも借り換える価値は?

残高・残期間が大きく、諸費用が低い/定額なら可能性あり。まずは回収年数を計算。

Q. 変動→固定で月額が上がるのは損?

「損」ではなくリスク低減の対価。教育費ピークなどブレを嫌う時期は合理的選択。

Q. 借り換えと繰上げ返済、どっちが先?

金利差が大きいなら借り換え→期間短縮の繰上げの順が効果的。差が小さいなら繰上げ優先も。

 

この条件なら前向き検討

  • 残高2,000万円以上 × 残期間15年以上
  • 新旧金利差0.3〜0.5%以上(同タイプ比較で)
  • 諸費用は10年以内に回収できる見込み
  • 団信・特約が同等以上で家計の安定性が増す

 

逆に、残期間が短い・金利差が小さい・費用が高い・保障が悪化する場合は、借り換えは見送り繰上げ返済や返済計画の見直しを優先すると合理的です。

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