
住宅ローンの審査に落ちない為に
はじめての住宅ローン審査は「何を見られるの?」「どこを整えればいい?」と不安になりがち。実は、金融機関が見るのは大きく分けて属性(収入・勤続・家計)、信用情報、自己資金、健康状態(団信)、そして物件価値の5系統です。本稿では、プロの視点で合否に直結する5つの重点ポイントを具体的な基準と実践手順に落とし込み、今日から整えられる対策を解説します。
まずは全体像を把握:審査の評価ポイント早見表
はじめに、金融機関が重視しやすい“合格ライン”の目安を俯瞰しましょう(あくまで一般的な傾向です)。
| 評価項目 | 目安・基準 | 対策の方向性 |
|---|---|---|
| 返済負担率(DTI) | 年収の25〜35%以内に収める | 借入額/期間/金利の調整、他債務の整理 |
| 勤続年数・雇用形態 | 勤続2〜3年以上が目安(例外あり) | 転職直後は実績提示、内訳資料の準備 |
| 信用情報 | 延滞・多重債務・短期解約なし | クレカ/ローンの整理・件数圧縮 |
| 自己資金・預貯金残高 | 物件価格の1〜2割+諸費用の確保 | 見せ金不可、入出金履歴の整合性 |
| 団信(健康状態) | 告知どおり、無理のない保障選択 | 特約は必要性と保険料のバランス |
ポイント1:返済負担率(DTI)を安全圏に調整する
審査の心臓部が返済負担率(DTI=年間返済額÷年収)です。一般に25〜35%以内が“通りやすいゾーン”。既存の自動車ローン、カードローン、リボ払いも年間返済額に合算されるため要注意。
かんたんチェック
- 年収500万円、他の年間返済30万円、住宅ローン予定年間返済が120万円 → DTI=(30+120)÷500=30%(許容範囲)
- DTIが高いときは「借入額↓」「金利タイプ再検討」「返済期間↑」「他債務の完済・圧縮」で調整
金利タイプ別の返済額イメージ(例)
| 借入3,500万円 | 金利 | 期間 | 月返済(概算) |
|---|---|---|---|
| 固定(全期間) | 1.5% | 35年 | 約107,000円 |
| 変動(当初) | 0.5% | 35年 | 約93,000円 |
| 固定期間選択(10年) | 0.9%(当初) | 35年 | 約100,000円 |
※試算は概算。ボーナス返済・保証料・団信保険料・手数料等は別途。
ポイント2:勤続年数・収入安定性を示す
同じ年収でも「安定性」がカギ。勤続2〜3年は目安ですが、転職直後でも業種一貫性・前職実績・見込み収入が補完資料で示せれば通る余地はあります。自営業・フリーランスは直近3期の確定申告書・青色申告決算書の整合性が重要。
提出すると信頼度が上がる補足資料
- 源泉徴収票(直近2年)+給与明細(直近3〜6か月)
- 転職者は「内定通知書・雇用契約書・職務経歴書」
- 自営は「売上内訳・主要取引先リスト・業務継続計画」
ポイント3:信用情報を“クリーン”に整える
審査では信用情報機関の記録(クレジット・ローン履歴、延滞、申込件数)が参照されます。直近の延滞・短期解約・申込乱発はマイナス評価。ローン仮審査は複数同時に出しすぎないのがコツ。
すぐできる改善アクション
- リボ払いは極力解消。ショッピングリボ=実質“借入”としてカウントされます
- カード枚数の整理:使っていない枠は解約or限度額引下げ
- 携帯本体代の分割遅延も延滞扱いのケースあり。支払いを厳守
ポイント4:自己資金・預貯金の“見える化”
自己資金が多いほど審査は有利。物件価格の1〜2割+諸費用を目標に、入出金履歴で“貯めてきた資金”を見せられると評価が上がります。直前の大口入金(親族贈与など)は、贈与契約書・通帳コピーで出所を明確に。
NGになりやすいケース
- 短期間に不明な大口入金(いわゆる“見せ金”疑惑)
- 諸費用までフルローン前提で手元現金ゼロ
諸費用目安(例)
| 項目 | 概算 | 備考 |
|---|---|---|
| 各種手数料・保証料 | 物件価格の2〜3% | ローン商品により変動 |
| 登記・司法書士報酬 | 10〜20万円 | 物件/借入額で差 |
| 火災保険・地震保険 | 10〜30万円 | 補償内容・年数で差 |
ポイント5:団信の告知は正確に。特約は“必要十分”で
団体信用生命保険(団信)は、万一のときローン残債を肩代わりする仕組み。告知は正確に、迷ったら医療記録を用意。三大疾病・就業不能などの特約は安心材料ですが、保険料が上がり返済負担率に影響するため「必要十分」の選択がベターです。
選び方のコツ
- 家計の保障全体(生命・医療保険)と重複加入になっていないかチェック
- 健康状態に不安がある場合は、ワイド団信や団信任意の固定ローン(例:一部の全期間固定型)も検討
審査通過率を上げる実践ロードマップ
以下の順に進めると、ムダなく“通りやすい”状態に整えられます。
STEP1:家計の棚卸し
- クレジット・ローンの残高、毎月返済額、ボーナス比率を整理
- リボ、キャッシングは返済計画を立てて先に圧縮
STEP2:借入可能額の試算と金利タイプ選定
- DTI25〜35%に収まる借入額を仮決め(固定・変動で複数パターン)
- 返済額が家計の手取りの25%前後以内なら“安心設計”
STEP3:書類の精度を上げる
- 源泉徴収票・給与明細・確定申告書、住所・氏名・世帯構成の一致を確認
- 自己資金の出所を証明する通帳コピー・贈与契約書を準備
STEP4:物件とローンの相性を確認
- 物件の評価(築年数・耐震・管理状況)で融資条件が変わることも
- 固定型は総返済の安定、変動型は初期負担の軽さ――家計の性格に合わせて選択
STEP5:申込の同時乱発は避ける
- 仮審査は2〜3本までに。否決後の連続申込は不利になりがち
ビジュアルで理解:通過率を下げる“やりがちNG”
- NG1:短期でのクレカ新規・解約・増枠を連発
- NG2:リボ払いの残高が多い(“見えない借金”扱い)
- NG3:申込情報の不一致(年収・勤務先・世帯情報)
- NG4:自己資金の不明入金(見せ金疑惑)
- NG5:固定/変動の選定理由が曖昧(ヒアリングで弱い)
ケース別アドバイス
転職1年未満
同業種・同職種でのキャリア継続がアピール材料。年収見込み証明(雇用契約書)や前職源泉徴収票で連続性を補強。変動よりも返済額が読みやすい固定期間選択を検討するのも一手。
自営業・フリーランス
売上の波を吸収できるよう手元資金厚め+保守的なDTIで申請。3期平均での利益水準、主要取引先の安定性、将来の受注計画を簡潔にまとめると評価アップ。
共働き世帯
ペアローン・収入合算は通過率を高める一方、将来のライフイベント(育休・時短)で収入が変動するリスクも。片働きでも耐えられる返済額に抑えるのが“落ちない”鉄則。
チェックリスト:申込前に最終確認
- DTIは35%以内か(理想は30%以下)
- 延滞ゼロ・申込件数は直近で増やしていないか
- 自己資金の出所が説明できるか(書類で裏取り可)
- 団信の告知内容と保険選択は適正か
- 物件の管理状態・耐震等級などの評価要素を確認したか
審査は“準備8割”で決まる

住宅ローン審査は、返済負担率・収入安定・信用情報・自己資金・団信の5点を整えれば“落ちにくい”体制が作れます。数字(DTI)で安全圏を確保し、書類の整合性を高め、申込の戦術(件数・タイミング)を工夫すれば合格率は大きく向上。家計が無理のない返済計画になっているかを軸に、固定と変動のバランスも含めて比較検討しましょう。
参考:準備書類テンプレ(コピー推奨)
- 本人確認(運転免許証・マイナンバーカード)
- 収入書類(源泉徴収票2年分/給与明細3〜6か月/確定申告書3期)
- 預貯金通帳(6〜12か月分の入出金履歴)
- 購入物件資料(重要事項説明書・見積書・図面)
- 贈与がある場合は贈与契約書・振込控え










